初めて読んだときの絶望的な閉塞感。
何故か既視感を感じつつ読み進めていたが、
私の見てきた閉鎖的なシステム会社の組織と酷似していた。
ある日
そしてある日突然誰も見たことのない巨大案件(技術的なオーバースペック)が壁の外から顔を覗かせる。
そして社員達は気づく。
「その日、社員は思い出した。やつら(しらない技術)に支配されていた恐怖を。鳥かごの中にとらわれていた屈辱を。」
兵団(社員)
私の目にしてきたシステム会社の開発部隊の役割はだいたいこう (以下) 。
もちろんざっくりだ。
今回のテーマは調査兵団的な社員の話だから、他はちょっと主役から降りてもらうよ。
そして立場で壁の中は感じ方が違うのも分かる。
勝手に閉塞感を感じているのは調査兵団だ。
むしろ安定を求める社員にとって外の世界は邪魔だ、壁の中は楽園だしね。
憲兵団
保守的な既存案件を安全にこなす社員、
安定した稼ぎはあるので社内での権限は強い。
駐屯兵団
主に社外に常駐し作業を行う社員、
社外と言っても技術的壁外ではないので安定志向。
固定収入になるので評価は良い。
調査兵団
社内の案件に疑問を感じ常に外の世界を意識し、社内の中では先進的な案件に取り組む部隊。
一番討ち死にが多い(体力的、精神的に)。
実力はあってもなかなか評価されない。
何故ならほとんどの会社が成果主義だからね。
そして、壁外に旅立ってしまう物も多い。
訓練兵団
キラキラしているね。
でも、調査兵団に最初から来ようなんて新入社員は希だよね。
そして調査兵団は思う。
「一生会社の中から出られなくても飯食って寝てりゃ生きていけるよ。でも、それじゃまるで社畜じゃないか。」
記憶
私は調査兵団にいあるが、経緯がちょっと特殊だった。
新兵から3年目にして駐屯兵団を言い渡されるが、駐屯先がとんでもなかった。
国内に存在する九つの巨大案件討伐の一つに最前線で放り込まれた。
立体起動装置をいきなり付けられて
「さぁいけ!」
って感じだった
(使うことが)限られた技術を最大限に活かし、何時しかその中でも生きる術を見いだしていった。
当時の団長は途中退場し、繰り上がりで団長になった。
そして、ある日、撤退を言い渡された。
投入された人数㊙名に対し、撤退時生き残っていた隊員はわずか数名。
最悪な団長であったことだろう。
そして、私は壁外の技術を知りつつ壁内に戻ってきた。
当たり前の様に調査兵団に迎え入れられた。
調査兵団
調査兵団はその特徴から、外の技術コミュニティーと触れることも多い。
壁内の人間は壁内の情報しか知らないために、壁外を恐れるが
壁外に触れた人間は、壁内のかりそめの平和を恐れる。
そして、ある日壁外に旅立ち帰ってこなくなってしまう(ことが多い)。
そして去って行った団員を思いながら、案件が終わるたび俺はこう叫ぶ
「今回の案件で…我々は…今回も…!
なんの成果も!得られませんでした!
私が無能なばかりに…!!
ただ いたずらに社員が退社し…!!
ヤツらの正体を…!!突き止めることができませんでした!!」
壁内でも最悪な団長だな。
何人の調査兵団員が壁外に行ってしまったことだろう。
でも、多分ここを去った調査兵団員は、
別の壁の中でやっぱり調査兵団員として頑張ってるんだろうな。
もう少し待遇や環境がよかったら残ってくれただろうか。
どうかな…
壁の中だけじゃ満足できない連中の集まりが調査兵団なんだろうから。
訓練兵団
今年も目をキラキラさせた新兵がやってきた。
「さぁおまえ達、(技術に)心臓を捧げよ!」
いつか、全ての壁が壊れたら海でも見に行こう。
海の向こうにはG.A.F.A.の名を持つ巨人がいるらしいぞ。
最後に
フィクションだぞ(免罪符)!
私はこの調査兵団員(辞めてしまったやつも)が好きだ。
でも、憲兵隊の中にも、駐屯兵団の中にも熱い心を持った人はいる(進撃の巨人でもいるね)。
憲兵団、駐屯兵団がいるから調査兵団の調査費用が出ているのも分かってる。
でも、俺は壁外に行くことよりも、まだ超世兵団を志す物がいるならば、調査兵団がここに存続できるようにしていきたいと思う。
そして、訓練兵団には調査兵団に憧れを持って欲しい。
茨の道だとしても。
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